研究概要 |
神経線維腫症には幾つかの病型がみられるが、古典的レックリングハウゼン病は神経線維腫症1(neurofibromatosis1, NF1),両側性聴神経腫瘍を有するものはNF2と分類されている。NF1の遺伝子は1990年にクローニングされ、その後に全塩基配列が明らかにされた。NF1遺伝子には59のエクソンがある。われわれにはこれら全てのエクソンについて、特異的プライマーを設定してPCR法を行い、さらに21M13、M13RP1ユニバーサルプライマーを用いてsize-sift assay,SSCP法、magnetic beadsを利用したdirect sequence法で遺伝子変異の解析を行った。患者本人の承諾を得た上で、20例のNF1患者の遺伝子の検索を行ったが、10例に変異が認められた。10例では変異を見いだすことができなかったが、これは遺伝子が約350kbpと巨大なためであり、さらにイントロンを含めた検索を行う必要がある。一方、NF2の遺伝子は1994年にクローニングされ、22q12に坐位することが明らかになった。われわれは聴神経腫瘍がみられず、皮膚や脊髄などに神経鞘腫が多発する疾患(神経鞘腫症)について、患者本人の承諾の上でsouthern法で検索したところ、NF2遺伝子を含むプローブで神経鞘腫の7例中3例に対立遺伝子の欠失を認めた。さらに欠失の認められた神経鞘腫症3例のうち2例にgerm lineにもNF2遺伝子の変異がみられ、神経鞘腫症はNF2と同一疾患であると結論した。
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