放射線治療後の局所的な再発巣を、従来の再発の診断基準である腫瘍体積の増大に先行して、真の再発点で、腫瘍の代謝の変化をポジトロン標識薬剤により検出し、画像診断を行う方法を開発し、臨床応用可能な腫瘍再発予知診断法を実現するのが本研究の目的である。^<11>Cメチオニン(Met)の腫瘍集積をオートラジオグラフィ上で腫瘍内の各細胞性分について調べたところ特異的に生存癌細胞への集積が高く、大半が酸不溶性分画に取り込まれるのに対し、肉芽組織、マクロファージなどへの集積は生存癌細胞の3-4割程度で可溶性分画が多く、Metの腫瘍集積は生存癌細胞特異的であった。また照射後の変化も鋭敏であり、炎症反応の影響をほとんど受けなかった。この結果を以前報告したFDGの腫瘍集積と比較すると、FDGのマクロファージへの集積は癌細胞の2倍、肉芽組織への集積も癌細胞より高く、FDGが癌細胞と間質の両方に非特異的に集積する薬剤である。一方FDGは、増殖の早い腫瘍と遅い腫瘍への集積の差がMetよりも大きく、悪性度の違いを検出するのに優れていた。癌細胞のFDG集積には細胞周期依存性があること、M期S期よりもG0/G1期、G2期に集積が高いことが明らかになった。FDGは治療前の診断、特に悪性殿診断に向いている薬剤であるのに対し、Metは治療後に生じる炎症反応の影響をあまり受けず、腫瘍細胞特異性が高いため治療評価に向いていることが明らかになった。また、放射線治療後の再発の診断にも、FDGよりも^<11>Cメチオニンや^<11>Cチミジンの方が向いていることがわかった。
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