研究概要 |
本研究の目的は,デジタル胸部単純写真における,結節状陰影,間質性肺疾患ならびに気胸陰影の検出と,心肥大検出のための心陰影の形状計測を含めた胸部疾患に対する総合的なコンピュータ支援診断システムの開発を行うことである.2年間の研究期間のうち平成6年度は以下に述べるように,システムハードウエアーの構築および各疾患を効率的に検出するアルゴリズムの開発を主に行った. 1.現有設備および補助金による新規購入設備備品を用いて,フィルムデジタイザー,ワークステーション,レーザーイメージャー,ビデオプリンター,パーソナルコンピュタから成るシステムハードウエアーの構築を行った. 2.各疾患に対する画像診断の特徴をコンピュータ・プログラミング可能な形式で記述した. 3.各疾患を含むデータベースの構築を行い,正常例100例,結節状陰影50例,間質性肺疾患100例,気胸20例,心肥大20例を収集し,光磁気デイスクへ収納した.平成7年度も大規模データベースの構築を継続する. 4.各疾患固有の特徴を効率良く抽出するアルゴリズムを開発した.基本となる技術は次の通りである. (1)結節状陰影に対しては,フィルタ処理によるコントラスト増強像と平滑画像との差分像に対する特徴抽出を行った. (2)間質性肺疾患に対しては,フーリエ変換に基づくテクスチャー解析を行った. (3)気胸に対しては,微分演算処理後Hough変換を使って滑らかな曲線検出を行った. (4)心肥大に対しては,微分画像とモデル関数による心陰影の検出を行った. 5.開発したアルゴリズムを現状のデータベースに適用した.各疾患の検出率は以下の通りである. (1)結節状陰影:有病正診率(75%):無病誤診率(2.5個/画像) (2)間質性肺疾患:有病正診率(90%):無病正診率(90%) (3)気胸:有病正診率(80%):無病正診率(70%) (4)心肥大:有病正診率(90%):無病正診率(90%)
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