| 研究概要 |
デジタル胸部単純写真における,結節状陰影,間質性肺疾患ならびに気胸陰影の検出と,心陰影の形状計測を含めた総合的コンピュータ支援診断システム(CAD)の開発を行った.平成7年度は以下に述べるように,アルゴリズムの改善と開発したCADシステムを実際の臨床症例に適用することで,システムの評価を行った.
1. 結節状陰影の検出に対し、ルールベース法を改良し、さらに、新たにニューラルネットワークを組み込んだ.100例の正常、および、結節状陰影100例、合計200例の胸部写真に本手法を適用した結果は、有病正診率が約75%、無病誤診率は約1.0(個/画像)となり、無病誤診率を大幅に減少させることができた.
2. 間質性肺疾患の検出に対し、新たにウエーブレット変換に基づくテクスチャー解析を追加した.本法を100例の正常肺と100例の間質性肺疾患を持った異常肺について適用した結果、有病正診率95%、無病正診率95%となり、有病正診率、無病正診率ともに改善された.
3. 60例の正常胸部写真、60例の結節状陰影を有する異常胸部写真、合計120例の胸部写真を用いた結節状陰影に対するROC読影実験を行った.その結果、胸部写真のみではAz=0.894、CADを併用した場合にはAz=0.940となり、CADを併用した方が、胸部写真だけで読影するよりも結節状陰影の診断能は有意に高くなる(P<0.001)ことが明らかになった.
4. 20例の正常胸部写真、20例の間質性浸潤影を有する異常胸部写真、合計40例の胸部写真を用いた間質性肺疾患に対するROC読影実験を行った.その結果、胸部写真のみではAz=0.948、 CADを併用した場合にはAz=0.970となり、CADを併用した方が、胸部写真だけで読影するよりも間質性肺疾患の診断能は有意に高くなる(P<0.005)ことが分かった.
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