研究課題/領域番号 |
06454328
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
樋口 輝彦 昭和大学, 医学部, 教授 (90105883)
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研究分担者 |
井田 逸朗 群馬大学, 医学部, 助手 (50251103)
大嶋 明彦 昭和大学, 医学部, 助手 (80276526)
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キーワード | Xe-CT / 局所脳血流量 / 感情障害 / イオマゼニール / SPECT |
研究概要 |
平成8年度は臨床研究としては平成7年度に引き続き感情障害患者を対象にXe-CTによる脳血流量の測定を行なう一方、感情障害および不安障害患者を対象に中枢型ベンソジアゼンピン受容体のリガンドである^<123>I-Icomazenilを用いてSPECTによる受容体機能の検討を行った。対象はDSM-IVによる感情障害と不安障害あわせて11例である。被験者には安静閉眼状態で^<123>I-Icomazenilを静注し、早期像および後期像をSPECT装置にて撮像した。その結果、Iomazenilの取り込みは大半の症例で局所的あるいは広範な低下を示した。局所的低下は主に前頭葉、頭頂葉、側頭葉において明らかであった。受容体結合強度に関しては前頭葉上部、頭頂葉、側頭葉、後頭葉で有意な低下が見られた。感情障害あるいは不安障害を対象に中枢型ベンソジアゼピンの受容体機能をin vivoで測定した報告は本報告がはじめてである。局所的な受容体結合の低下は不安障害あるいは感情障害の病因・病態を明らかにする上で重要な意味をもつものと考える。 基礎研究としては、上記の臨床研究を対応する形で脳内ベンゾジアゼンピン受容体が薬物あるいはストレス負荷によってどのような影響を受けるかを検討した。不安惹起物質として脳内に存在することが明らかにされていたβ-CCBをラットに投与し、脳内ベンゾジアゼンピン受容体結合の変化を検討した。その結果β-CCB投与によりベンゾジアゼンピン受容体結合が低下することが明らかとなった。また、2時間の拘束ストレスによりベンゾジアゼピン受容体結合が増加することも明らかになった。これらの所見はまだ予備的なものであるが、今後ヒトを対象としたin vivoの受容体研究を行う上で必要な基本的条件設定を決めるのに有用な所見と思われる。
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