研究課題/領域番号 |
06454331
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
武田 雅俊 大阪大学, 医学部, 講師 (00179649)
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研究分担者 |
工藤 喬 大阪大学, 医学部, 助手 (10273632)
谷口 典男 大阪大学, 医学部, 助手 (30263255)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | アルツハイマー病 / 動物モデル / buffy coat / 頭部外傷 / アルミニウム / neurofilament |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)の疫学的病因のうち金属中毒・感染・頭部外傷に注目し、それぞれに基づいた動物モデルを作製してその妥当性を検討した。まず感染性要因の関与について、ハムスター脳に患者のbuffy coatを接種することにより検討した。AD患者の接種群では、脳幹神経核で、抗リン酸化neurofilament-H(NFH)抗体および抗tau抗体を用いた免疫染色で染色される線維を集積する神経細胞を認めた。また異常線維増生を認めた脳組織を接種した第3接種では、非リン酸化NFHが増生していることが示唆された。また頭部外傷のモデルとして、fluid percussion装置を用いてラット脳に衝撃を与えそれに伴う変化について検討した。1回では障害が軽微な軽度衝撃を反復して加えたところ、一部の神経細胞体内はMAP2、p-NFHで強陽性に染色された。また衝撃部位ではGFAPが増生し、軽度の神経細胞脱落が認められた。その1カ月後には反対側の遠隔領域においても神経細胞脱落が認められるようになり、それらの部位でもp-NFHの異常な蓄積が認められた。さらに金属中毒についてはアルミニウム(Al)をウサギ脳に注入することにより中毒脳を作製し、それに伴うNFの経時的変化について検討した。NFHとNFL蛋白量の解離が各部位とも3〜7日目を通じて増大傾向を示し、特に脳幹では著明であった。またNFLとNFHの局在にも偏りが生じることが明らかになった。Al投与後のNF-LmRANに対するNF-HmRNAの量比を経時的に比較すると脳幹ではNF-HmRNAの比率の増加が明らかであったが、蛋白量の解離を説明する程度ではなかった。免疫組織学的な検討から、Al投与により、初期には非リン酸化NFが蓄積するが後にリン酸化NFが蓄積していくことが明らかとなった。3つの異なった発症因子が奇しくも同様のNFHを中心とした線維構造物の異常蓄積を生じることは興味深いところであるが、3つの知見を通して軸索輸送の障害というメカニズムが最も示唆された。
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