研究概要 |
正常人ボランティアドナーにG-CSFを投与し、末梢血幹細胞(peripheral blood stem cells,PBSC)の動員効果を検討した。造血能の評価には、骨髄系、赤血球系、顆粒球-単球系造血前駆細胞としてCFU-Mix,BFU-E,CFU-GMを用いた。 G-CSFの少量(1.5μg/kg)短期(2-3日)投与では、CFU-Mix,BFU-E,CFU-GMともに定常状態に比べて数倍から10数倍に増幅された。また、未熟な造血前駆細胞であるLTC-ICもG-CSFによるin vivo増幅(10数倍)が可能であった。 次に同種末梢血幹細胞移植を目的としてG-CSF大量投与によるPBSC動員を試みた。正常人ボランティアドナー3名づつにG-CSFを5,10,15μg/kg 5日間皮下投与し、末梢血中の前駆細胞の推移を経過観察するとともに、実際にアフェレ-シスを行い、PBSC採取を実施した。その結果、15μg/kgのG-CSF投与で末梢血中にはCFU-GM,BFU-E,CFU-Mix,LTC-ICともに最も多く動員された。アフェレ-シスで採取したCFU-GM量から、同種末梢血幹細胞移植には10μg/kgのG-CSF 5日間投与で生着に十分な量のPBSCが採取可能と推察された。
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