研究概要 |
細胞は高浸透圧下にさらされた時、細胞内にosmolydes(ミオイノシトール、ソルビトール、グリセロホスホコリンなど)を蓄積して水分の漏出を防ぐ。糖尿病において高血圧→浸透圧上昇の現象下で、ミオイノシトールが減少し、ソルビトールの過剰蓄積が起きる。その結果、イノシトール代謝の乱れ→細胞内シグナリング異常が起きて糖尿病二次障害(糖尿病性腎症など)が発生する。 以上の概略のもとに実験は進行し、以下の成果を挙げつつある。 (1)Na/ミオイノシトール輸送体のcDNAをラット腎からクローニングした。 (2)その全塩基配列の決定は目下進行中だが、既知のMDCK細胞由来のcDNAと少々の差違が認められた。 (3)ラットを2%食塩水と普通食餌で飼育すると、当輸送体が増量していることがイムノ・ブロット法で認められた。 (4)細胞下分画で当輸送体の分布を見ると、膜分画にMDCK細胞などで固定されたものより約20,000小さい類似タンパクを検出した。 (5)MDCK細胞を高浸透圧下にさらし、当輸送体増加の経時変化に対する。高グルコースの影響を観察しつつある。 当輸送体の合成と細胞内輸送に密接に関与しているHSPsについて多くの研究結果を発表した。 当輸送体遺伝子のエンハンサー領域の解析と、細胞外広浸透から遺伝子に至るシグナリングの分析に鋭意研究を進めている。
|