研究課題/領域番号 |
06454352
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
折田 義正 大阪大学, 医学部, 教授 (70028398)
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研究分担者 |
守山 敏樹 大阪大学, 健康体育部, 助手
今井 園裕 大阪大学, 医学部, 助手 (00223305)
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キーワード | 糸球体腎炎 / 腎生検 / メサンギウム細胞 / 形質変換 / カルデスモン |
研究概要 |
今年度は、血管平滑筋細胞において形質変換に関与しているとされるカルデスモン(Cd)に着目し、その発現がメサンギウム細胞においても形質変換の指標となりうるかどうか検討した。まず当院において施行したIgA腎症患者20例の腎生検標本を用い免疫組織化学染色にてCdおよびSMAの発現を調べた。また各症例毎に、メサンギウム細胞増殖病変の指標としてPCNAの発現や光顕標本における細胞増殖性病変と硬化性変化のインデックス、および臨床データ(尿蛋白、Ccr等)とCd,SMAの発現とを比較検討した。Cdについては20例中11例に強く発現しており、Cdの発現の強陽性群(11例)と弱陽性-陰性群(9例)に分けて比較検討すると、強陽性群が弱陽性群に比しPCNAの発現(3.2±2.9v.s.0.8±1.0)や光顕標本における細胞増殖性病変のインデックス(3.1±1.1v.s.2.0±0.9)および硬化性病変のインデックス(3.9±1.2v.s.1.5±1.1)とも有意に高値であった。臨床データとの比較では強陽性群が尿蛋白が多く、Ccrが低下している傾向にあったが、有意差は認めなかった。SMAについてもほぼ同様の結果であった。よってCdはSMAと同様に増殖性糸球体病変の進行と共に発現が増強していると考えられ、メサンギウム細胞の形質変換および糸球体硬化に関与している可能性が示唆された。またステロイド等の治療により光顕標本において糸球体病変の軽快した症例ではCdおよびSMAの発現は低下していたため、糸球体病変の治療反応性を含めた活動性の指標となりうると考えられた。
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