異種肝臓移植の基礎的研究(拒絶反応抑制における細胞間接着分子の機能)

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06454362
• 研究機関: 信州大学
• 研究代表者: 川崎 誠治 信州大学, 医学部, 助教授 (80177667)
• 研究分担者: 磯部 光章 信州大学, 医学部, 助教授 (80176263)
• キーワード: 接着分子 / 異種移植

研究概要

我々は異種間における臓器移植の実験的モデルを通じて、細胞間接着分子の免疫機能や相互作用を検討し、さらに異種間臓器移植における拒絶反応を抑制することを目標に研究に励んでいる。同種心移植モデルで証明されている抗接着分子抗体(抗ICAM‐1抗体、抗LFA‐1抗体)を用いた免疫寛容が、異種に応用されるかが大きな課題であった。我々は心臓と肝臓について、移植実験を行っている。心臓においてはラット心臓をマウスに移植し抗接着分子抗体(抗ラットICAM‐1抗体、抗マウスLFA‐1抗体)を使用することにより飛躍的に生存率が延長し、さらに免疫抑制剤であるFK506を併用することによりさらなる延長が認められた。これは混合リンパ球培養でも証明され、接着分子の役割を明らかにすると共に異種間移植への道を開くものと確信している。現在当初のもう一つの大きな目標である、マウス肝臓移植とゆう世界でもまれな実験モデルの作成とこれをつかった免疫機能検査があるが、モデルの作成はかなりの技術熟練をようし安定した成績を得るにはさらなる時間が必要である。
現在この実験とは別にセレクチンと言う細胞の接着に初期に機能すると考えられている接着分子に着目しこの抗体が、臓器移植にいかに作用しているかも併せて検討中である。来年度は本実験をさらに深め免疫寛容に一歩でも近づけるよう努力する所存である。

研究成果

• [文献書誌] S.Miwa,S.Kawasaki.,et al: "Role of UCAM‐l and LFA‐l in a Cardiac Xenograft Rejection Model" Transplantation Proceedings. 27. 111-112 (1995)
• [文献書誌] K.Matsushita,S.Kawasaki et al: "Arterial Ketone Body Ratio in LIver Surgery" Hepatology. 20. 331-335 (1994)
• [文献書誌] S.Kawasaki,M,Makuuchi: "The Arterial Ketone Body Ratio in Living‐Related Donors" Transplantation. 58. 1412-1414 (1994)
• [文献書誌] M.Isobe,J.F.Southern.,et al: "Immunosuppression to cardiac allografts and soluble antigens by anti‐VCAM‐1 and anti‐VLA‐4 monoslonal antibodeies" J Immunol,. 153. 5810-5818 (1994)
• [文献書誌] M,Isobe,J.F.Southern,et al: "Scintigraphic detection of early cardiac rejection by 1231‐labeled monoclonal antibody directed against monomorphic determinant of MHC class 11 antigens" Am Heart J. 127. 1309-1317 (1994)