研究課題/領域番号 |
06454363
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
国枝 克行 岐阜大学, 医学部, 助手 (60186418)
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研究分担者 |
辻 恭嗣 岐阜大学, 医学部・附属病院, 助手 (20262769)
梅本 敬夫 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (40223614)
杉山 保幸 岐阜大学, 医学部, 助手 (90211309)
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キーワード | 胃癌 / 腹膜播種 / PIPLC / CEA |
研究概要 |
CEA抗原は細胞膜に疎水結合しているが、この結合はPhosphatidyl inositol phospholipase C(以下PIPLC)により選択的に切断可能である。申請者らはこれまで腹腔洗浄液沈渣にPIPLCを添加し細胞内CEA抗原を上清中へ遊出させ、非添加例の上清中のCEA濃度と比較すれば腹膜播種性転移の早期診断が可能となることを示してきた(PIPLC原法)。今年度、申請者らはPIPLC原法を応用して、肉眼的播種巣を形成していない段階での腹膜播種性転移を、術中に簡便に診断できるキットを試作し、以下の検討を行なった。【対象】胃癌手術症例25例【方法】開腹直後にダグラス窩及び左横隔膜下腔内に50mlの生食水を注入・洗浄し可及的洗浄液を採取後、内10mlをGLASS MICROFIBRE FILTER(以下GMF)で濾過し、0.1Mリン酸緩衝液(以下PB)で洗浄後、GMF上の細胞を抗CEA抗体含有固相化フィルムに接触させ、PIPLC0.05単位を添加し、手術室内温蔵庫(37℃〜40℃)にて90分反応させた後、発色させ、非添加例と色の差異を認めた例を陽性とし(以下PIPLC-KIT法)パパニコロウ染色による腹腔洗浄細胞診結果と比較した。【基礎的検討】胃癌培養細胞株をもちいた検討では組織CEA陽性株であるKATO-IIIでは5.0×10^3個、MKN-45では5.0×10^2個の細胞が検出可能であった。一方組織CEA陰性株であるMKN-28では1.0×10^6個の細胞でも検出できなかった。【臨床的検討】胃癌手術症例25例中細胞診陽性であった例は11例あり、これらすべてでPIPLC-KIT法陽性であった。一方細胞診陰性例は14例あり、内2例でKIT法陽性と判定されたが、これらは広範T3症例であり、腹膜播種性転移早期診断例と推察された。【結語】PIPLC-KIT法は腹膜播種性転移の簡便な早期診断法として有用となる可能性が示唆された。 今後申請者らはさらに簡便かつ迅速に判定が行なえ、またコストダウンがはかれるようにようにキットを改良し、これを実用化する所存である。
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