平成6年度においては、以下の結果が得られた. 1.ヒト正常膵部分によりRT-PCR法によりproinsulin遺伝子を増幅、分離、精製し、neomycin耐性遺伝子をもつeukaryotic expression vectorに組み込み、CHO細胞株にカチオン性油脂法にて導入し、proinsulin遺伝子発現細胞株(CHO/l)をクローニングしえた。 2.CHO/lを継代培養し、培養液中にimmuno-reactive insulinの分泌を認めた。 平成7年度は、CHO/l細胞株をDiffusion chamberに封入したhybrid型人工膵臓を開発し、90%膵切除にて作成した糖尿病ラットの腹腟内に移植し、以下の結果を得た。 1.microcarrier beads上でCHO/l細胞を大量培養し、0.2μmのmembrane filterを用いたdiffusion chamber中に封入し、人工膵臓を作成した。 2.このdiffusion chamberを90%膵切除にて作成した糖尿病ラットの腹腟内に移植した。 3.90%膵切除ラットでは通常空腹時血糖がが300mg/dl以上となり、体重も減少するのに対し、空腹時血糖値の正常化をみ、また体重も順調に増加した。 以上、ヒトインシュリン遺伝子導入人工β細胞封入diffusion chamberを用いた人工膵臓のモデルを作成しえた。 以上の結果は、第30回日本移植学会総会シンポジウム(1994.11)、第45回日本消火器外科学会総会ワークショップ10(1995.2.)、第31回日本移植学会総会ワークショップ2(1995.9.)において報告した。
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