研究概要 |
無蛋白培養細胞株HGC-Y(ヒト胃癌細胞)を大量培養装置Verax system(現有)で培養し、300リットルの上清と細胞のペレットを150ml確保した。これらの8Mウレア抽出液を出発材料にしてゲル濾過、DEAE弱陰イオン交換体、フェニル疎水結合およびC4逆相などのカラムおよび分取型電気泳動装置(Biophoresis III,現有)を用いてパ-フォリンインヒビターを精製した。SDS-PAGEから算出した分子量は薬14kdaで、今後の研究の進展にも喜ばしい大きさであることが判明した。精製物の収量は培養上清凍結乾燥品からよりも細胞のペレットからの方が約10倍多かった。このことは癌細胞がCTLやNKの攻撃からしたたかに逃げている事実に合致している。早速精製品を用いて特異抗血清の作製を試み、Western blotなどに用いられる家兎抗血清ができ、現在モノクロナル抗体を作製中である。また精製品を用いたN-末端アミノ酸配列および内部部分アミノ酸配列も解析中であるが、更に反復再検中である。一方、移植ラットでの実験に先立って毒性実験を行なった。200gの雌ラットに精製品を25ug,50ugおよび100ug/匹(各群2匹)で7日間連日投与したところ、死亡例は皆無で、8日目に屠殺した主な臓器の病理組織学的所見はまったく異常像を示さず、本品の安全性を証明することが出来た。
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