研究課題/領域番号 |
06454375
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
小林 紘一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80051704)
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研究分担者 |
山畑 健 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10255482)
泉 陽太郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90245506)
菊池 功次 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40129408)
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キーワード | 人工酸素運搬体 / lipid-heme-microsphere(LHM) / 脱血交換実験 |
研究概要 |
可逆的に酸素を結合、解離できるII価鉄を持つヘムを合成し、このヘムを脂肪油滴の周りに配置させることにより、血液型の無い全合成系の人工酸素運搬体lipid-heme-microsphere(LHM)を作成し、その物性と酸素運搬能について検討した。 本物質の物性に関してはin vitroの実験で1)粒径が0.3μmと小さく、2)膠質浸透圧の調節が可能、3)5cpと粘度が低い、4)そのため溶液中のヘム濃度を高め酸素運搬能を高めることができる、5)P_<50>は40mmHgと低く組織での酸素放出が良好、6)長期の保存が可能、などのことが判明した。また、生体に与える影響をみるためラットへの静脈内投与により、1)血液の凝固線溶系に与える影響は認めず、2)循環血液量の65%までの脱血交換後も動物は長期存在し、3)組織学的検討でも重要臓器における異常所見は認められなかった。なお、本物質の血中における半減期は10〜13時間であった。 LHM作成の能力上、本年度はビ-グル犬における約60%までの脱血交換実験実験を行い血行動態や酸素運搬体としての機能を検定した。 その結果、本人工酸素運搬体は注入後3時間まで末梢組織に約50ml/minの酸素を運搬し、これは全酸素運搬量の約40%に相当した。またこの酸素運搬体よりの酸素消費量は注入後3時間まで約25ml/minであり、これはビ-グル犬における全酸素消費量の約25%を占めていた。 以上のように本人工酸素運搬体は肺で酸素加されその酸素を末梢で放出しており生体中でも酸素運搬体としてのその機能を発揮していることが確認された。
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