我々は、遊離肝細胞を用いた体外循環型ハイブリッド人工肝臓の開発を目的として、実験動物(無肝ウサギ、急性薬剤性肝不全ラット)のEx Vivoにおける人工肝モジュールの評価、肝細胞の低温保存法および大動物(ブタ)からの肝細胞分離の検討を行った。 我々が開発したコラーゲンゲル包埋肝細胞高密度灌流培養法を応用して体外循環型ハイブリッド人工肝モジュールを作成し、以下の新知見を得た。 ウサギ無肝モデルに対してウサギ用人工肝モジュール(約4〜6%の肝細胞充填)を用いて体外循環を行い機能評価した。体外循環中、無肝ウサギの循環動態は安定し、最高24時間の生存を認めるなど生存時間の延長、血中アンモニアの上昇やアシドーシスの進行の抑制、凝固機能の維持において有効であることが確認された。これに関して、発現蛋白などを追加検討中である。 また、ラット無肝モデルにおいてすでに確認された有効性に加えて、ガラクトサミンを用いた急性薬剤性肝不全モデルにおいても、ラット用人工肝モジュール(約4%の肝細胞充填)を用いた3時間の体外循環で、プロトロンビン時間、総胆汁酸、血中アンモニアの改善を認めた。体外循環時間を延長させ、生存時間の検討を含めて追加検討を行う予定です。 ハイブリッド型人工肝モジュールの保存法の開発を目的として、コラーゲンゲル包埋肝細胞の低温保存を行った。4℃・University of Wisconsin液で14日間保存したコラーゲンゲル包埋肝細胞は、形態学的(位相差顕微鏡、走査電子顕微鏡)には球状形態を示し、機能学的には尿素合成能、リドカイン代謝能、糖新生能、アンモニア負荷による尿素合成能において保存されていない肝細胞と同等の機能を維持していた。これを基に現在人工肝モジュールの低温灌流保存法の検討中である。 臨床応用可能なハイブリッド型人工肝モジュールの実用化に向けて、大動物(ブタ)からの肝細胞分離を現在試行している。大量の肝細胞の安定採取に関して検討中である。
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