研究概要 |
【RT-PCR法をもちいたMAGE mRNAの発現の検討】 食道癌15例、大腸癌25例について検討が終了した。すなわち、食道癌では10/15例、大腸癌では20/25例にMAGE-1,-2,-3,-4/41,-6を含むMAGE gene family mRNAの発現を確認した。MAGE-1,-2,-3,-4/41,-3/-6はそれぞれに特異的なプライマーをもちいた検討では食道癌においてMAGE-1 19%,-2 25%,-3 2%,-4/41 8%,-3/6 5%であった。 食道癌および大腸癌がMAGEをもちいた癌特異免疫療法の対象として有望であることをこの結果は示している。 【in situ hybridization法をもちいたMAGE mRNAの発現の局在の検討】 MAGE-1,-3,-4/41,-6,-12を検出可能なdigoxigenin標識プローベを作成し、食道癌15例について検討が終了した。その検出能力はRT-PCR法を対照とすると、感度0.9、特異度1.0、精度0.93と満足できる結果であった。食道癌における発現は腫瘍全体にわたって認められ、heterogenityがあり、特に腫瘍辺縁に強い傾向が見られた。BrdUやPCNAをもちいた検討によると、腫瘍辺縁部は食道癌において細胞増殖が盛んにおこなわれているところである。創傷治癒過程の皮膚ケラチノサイトに正常では認めないMAGE遺伝子の発現を認めるという最近の報告とあわせて、MAGE遺伝子の生体内での役割を解明する手掛かりの一つが得られたといえる。また、この結果は、浸潤・転移の中心的な場とされる腫瘍辺縁部がMAGEをもちいた癌特異免疫療法の標的となることを明快に示すことができた点で意義がある。
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