研究概要 |
研究実績の概要 1.食道癌15例・大腸直腸癌40例について手術切除標本におけるMAGE gene familyの発現をRT-PCR法によって検討した。食道癌腫瘍組織で66.7%・大腸直腸癌腫瘍組織で52.5%の発現を認めることを明らかにした。肝転移を有する症例に発現が多い傾向があった。同時に検討した正常粘膜組織では全例で発現を認めなかった。 2.MAGE gene familyのうちヒト腫瘍において発現が認められるMAGE-1,2,3,4a/4b,6,12それぞれの発現について、はじめ制限酵素切断により識別を試みたが操作が煩雑であるため、MAGE-1,2,3,4a/4b,6それぞれに特異的なプライマーを設定したRT-PCR法によりMAGE gene familyそれぞれの発現を検討し、MAGE-3の発現が食道癌で53%・大腸直腸癌で33%と高率に発現していることを明らかにした。MAGE-12については現在検討中である。 3.MAGE gene familyに特異的なDIG labeled RNAプローブを作成しin situ hybridization法をもちい、食道癌・大腸直腸癌組織におけるMAGE gene familyの発現の局在を検討した。食道癌においては辺縁部に多く発現を認めheterogenityがあることを認めた。大腸直腸癌においてはheterogenityが少ないことを明らかにした。 4.食道癌において発現を認める腫瘍辺縁部が細胞増殖が盛んであること、正常組織において発現が報告されているtestis,placenta,創傷治癒過程の皮膚がいずれも細胞増殖が盛んであることから細胞増殖と関連する細胞周期を制御する遺伝子であるp53蛋白の発現,cyclin D1の過剰発現などとの関連を検討したが有意な関連を認めなかった。
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