研究概要 |
切除食道癌15例、大腸癌40例を対象としMAGEgene発現に関し検討を行った。 食道癌に関してはMAGE-1,-2,-3,-4a/4b,-6を増幅可能なプライマーを用いreverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)法にて検討した結果、10/15(67%)にその発現を認めた。また、14例に関しMAGE-1,-2,-3,-4a/4b,-3/6それぞれに特異的なプライマーを用いた検討では、それぞれ4/14(28.6%),4/14(28.6%),7/14(50.0%),3/14(21.4%),9/14(64.3%)にその発現を認めた。各種臨床病理学的因子とMAGEgeneの発現との間に相関関係は認めなかった。同症例における正常食道粘膜にはMAGEgeneの発現は認めなかった。 一方、大腸癌においてMAGE-1,-2,-3,-4a/4b,-3/6は、それぞれ3/40(7.5%),6/40(15.0%),13/40(32.5%),5/40(12.5%),16/40(40.0%)にその発現を認めた。臨床病理学的因子との関係を検討した結果、リンパ節転移陽性例に有意にMAGE-3の発現が高かった(p<0.05)。また、Dukes′D症例におけるMAGE-3の陽性率は他のDukes症例のMAGE-3陽性率より有意に高かった(p<0.05)。正常大腸粘膜にはMAGEgeneの発現を認めなかった。 以上のように、これまで不明であった食道癌、大腸癌におけるMAGEgeneの発現を明らかにし、また、どちらも比較的高頻度にその発現を認めたことにより、MAGE特異免疫療法の対象疾患として有望であることが示された。
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