研究課題/領域番号 |
06454386
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
具 英成 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (40195615)
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研究分担者 |
富永 正寛 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
黒田 嘉和 神戸大学, 医学部・附属病院, 助教授 (70178143)
齋藤 洋一 神戸大学, 医学部, 教授 (90004803)
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キーワード | 肝潅流化学療法 / 肝静脈分離 / 活性炭吸着 / 肝細胞癌 / 骨盤腫瘍 / 子宮癌 |
研究概要 |
外科的切除が困難な高度進行腹部臓器癌に対する新しい治療法として静脈分離・活性炭吸着による経皮的潅流化学療法を考案し臨床応用を私達は実現した。本研究では肝細胞癌に対する肝静脈分離・活性炭吸着(HVI・CHP)法の手技的改良と他の腹部臓器癌治療に本療法のコンセプトを応用することを目的に研究をすすめてきた。手技的改良についてはより簡便なシングルカテーテル法を確立し、昨年度以降は全症例とも改良した方法で治療しその安全性を実証した。その結果、肝癌症例では3回まで約1ケ月の間隔で本療法の反復治療を行い、単回治療の成績をさらに上回る良好な抗腫瘍効果が得られた。こうした成績にもとずき、今年度からは肝細胞癌の切除率の向上を目指し、従来切除困難と考えられていた肝臓の両葉にわたる多発肝細胞癌を主腫瘍に対する肝切除と残肝腫瘍に対する本療法の反復による合併療法で集学的に治療する新しいアプローチを開始することが可能となった。目下、この治療アプローチで6例の進行肝細胞癌を治療したところであるが6例中5例では良好な肝病変のローカルコントロールが得られており、さらに治療集積を行っている。 肝臓以外の腹部臓器癌に対しては昨年度実施した骨盤内肉腫2例の治療に加えて、あらたに当施設の婦人科との協力の下に子宮頸癌の治療に対して下大静脈分離・活性炭吸着によるシスプラチン大量動注療法を実施した。現在2例の治験を終えたが副作用は認めず著しい腫瘍効果がいずれの症例でも証明された。これらの成績について国内、国外での報告を行い、臨床的普及を目指しているところである。 また、現時点までの治療例を総括し肝癌では長期予後の改善に及ぼす本療法の意義を検討しているところである。
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