研究課題/領域番号 |
06454386
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
具 英成 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (40195615)
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研究分担者 |
富永 正寛 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
黒田 嘉和 神戸大学, 医学部・附属病院, 助教授 (70178143)
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キーワード | 肝灌流化学療法 / 肝静脈分離 / 活性炭吸着 / 肝細胞癌 / 骨盤腫瘍 / 子宮癌 |
研究概要 |
現時点までに肝癌に対しては、4ルーメン・2バルーン特殊カテーテルを用いる肝静脈分離・活性炭吸着経皮的肝灌流化学療法を確立した。また臨床例の集積を通じて本療法の同一例における反復治療の安全性を確認することができた。それにもとづき肝細胞癌に対してはアドリアマイシン(100mg/m^2)を、大腸癌肝転移に対してはシスプラチン(150-200mg/m^2)を主剤とする本療法の反復治療を寛解導入療法とする集学的治療を実施に移した。この集学的治療計画では経皮的肝灌流化学療法に引き続き、皮下埋植型リザーバーを用いた少量間歇動注療法を維持療法として組合せ長期寛解導入を目指した。今年度からその長期遠隔成績を検討したところ従来効果的な治療法のなかった多発進行肝細胞癌、30例中5例で完全寛解、13例で部分寛解が得られることが明らかになった。また経皮的肝灌流による導入療法とリバーザー動注による維持療法を行なった例では寛解期間の中央値は23ケ月と長期寛解が得られることが判明した。さらに本療法による治療例30例において1年生存率68%、5年生存率40%と長期予後が判明し、肝動脈塞栓化学療法などの従来の治療法に比べて大幅に改善することが示された。一方、大腸癌肝転移例15例においても血清CEAの低下期間を本計画における集学的治療により6ケ月以上に延長することができた。以上より今年度の臨床的研究の推進を通じて経皮的肝灌流化学療法を軸とする新しい集学的治療体系を確立することができた。骨盤内悪性腫瘍に対する下大静脈分離・活性炭吸着による骨盤灌流化学療法については子宮癌3例、骨盤内肉腫2例の計5例の治験を集積した。子宮癌ではCR1例、PR2例と高い有効率が実証されたが、直腸癌局所再発など他の骨盤腫瘍に対する応用が今後の検討課題として残された。
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