研究課題/領域番号 |
06454387
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
鈴木 敞 山口大学, 医学部, 教授 (20026834)
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研究分担者 |
林 弘人 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (60218592)
丹黒 章 山口大学, 医学部, 助手 (10197593)
濱中 裕一郎 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (40189618)
岡 正朗 山口大学, 医学部, 助教授 (70144946)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 膵切除 / 膵再生 / プロテアーゼインヒビター / 胃内容排出 / 膵癌 / 迷走神経幽門枝 / 腸間膜根部郭清 / 幽門輪温存術式 |
研究概要 |
1.プロテアーゼインヒンビター(PI)経口投与により惹起された膵栄養効果の持続性を切除膵と非切除膵で比較した。ラットを4群に分けた。単開腹群:単開腹+蒸留水投与、単開腹PI群:単開腹+PI投与、膵切除+蒸留水投与、膵切PI群:膵切除+PI投与。膵切除はsplenicとgastric segmentを切除しPI(camostat 200mg/kg)を術後第7日目より連日7日間、強制胃内投与した。その結果、膵湿重量と蛋白含量はPIにより増加し、それは膵切PI群で顕著であった。PI終了後は単開腹PI群は急速に減少したが、膵切PI群では高値が持続した。光顕的には膵重量の増加と一致して膵腺房細胞の肥大がみられた。以上のように、PI投与及び投与中止後の膵栄養効果持続性は、非切除膵では一過性であるが、切除残膵ではより顕著に発現し長期間持続した。 2.全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(以下PPPD)後に頻発する胃内容排出遅延の主因と目される神経切離因子と消化管離脱因子を取り上げラットを用いてアセトアミノフェン法により胃排出能を測定した。その結果、迷走神経幽門枝切離は術後極早期の胃排出能を障害し、その後の胃内容排出遅延は主として腸管離断吻合に関連する諸要素によりもたらされた。PPPD施行時に可能ならば迷走神経幽門枝を温存することおよび癒着などの機械的要因の防止に留意することが、術後胃排出遅延の減少につながるものと考えられた。 3.幽門温存下になされる膵頭十二指腸切除に際して、上腸間膜動脈周囲神経叢の全周性郭清は高度の消化吸収障害と共に、残膵の再生能を阻害する。そこで腸間膜根部横断標本を作成し相互位置関係を解析したところ、上腸間膜動脈の外膜を直接包む神経叢の3mm幅以内には殆どリンパ節を存在せず、それより外方には術中識別不能の小リンパ節を含む(14)転移リンパ節が両側性に散在することを実証した。従って本動脈右半周領域は神経叢もろともリンパ節を郭清し、左半周は外膜より3mm幅温存下にその外方のリンパ節を含む組織を郭清し、照射を追加する方法がバランスの良い術式であるとの考えに至った。 以上の諸研究により、膵切除残膵の再生促進と幽門輪温存術式改良に関する有用な知見をうることができた。
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