研究概要 |
肝細胞癌手術患者36例、及び血中HCV-Ab陽性の非肝細胞癌患者7例につき、肝組織中のHCV RNAをI型,II型,III型,IV型の4つのsubtype別にRT-nested-PCR法を用いて検索した。 この結果 1)、肝細胞癌患者36例中、肝組織よりHCV-RNAが検出されたのは25例で、このうち3例は、血中HCV-Ab陰性であった。 2)、感染型では、単独感染はII型のみで16例、重複感染はII+III型が5例、II+IV型が2例、II+III+IV型が2例の計9例だった。 3)、また、癌部からのみRNAが検出された症例はなく、11例/25例(44%)では、非癌部からのみRNAが検出された。 4)、subtype別の検出延べ数は、I型0例、II型25例(100%)、III型7例(26%)IV型4例(16%)だった。 5)、非肝細胞癌患者7例は全例からHCV-RNAが検出され、II型が4例、II+III型が3例だった。 primer I〜IVを用いた今回までの検討で、本邦ではII型の感染が主であり、HCVは組織では癌部より非癌部にて検出しやすいこと、重複感染と肝細胞癌発生には有意な関連性認められないこと、そしてHCVの感染を評価するには血液の検討のみでなく、肝臓組織の検討が必要であることが示唆された。 現在、血液検体についてもHCV-RNAを検討しており、HCVの組織巾と血液中での存在様式を検討するとともに、HBVについても同様の検討を行っている。
|