研究課題/領域番号 |
06454390
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
奥野 清隆 近畿大学, 医学部, 講師 (30169239)
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研究分担者 |
重岡 宏典 近畿大学, 医学部, 助手 (70247998)
廣畑 健 近畿大学, 医学部, 講師 (60228848)
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キーワード | 肝転移 / インターロイキン2 / 肝動注療法 / 肝類洞壁細胞 / 免疫化学療法 / 肝抽出率 |
研究概要 |
大腸癌の切除不能肝転移症例に対してIL-2MF肝動注を施行して70%以上の奏効率を得た(pilot study)ことをもとに多施設によるprospective randomized study(PhaseII)を展開中である。中間解析では期待された結果が得られ、さらに次の段階に進むべく準備を進めている。臨床治験と並行して、本法の作用機序の解析をラットの肝動注の実験系で進めている。IL-2MFを1週間投与した後、肝類洞内リンパ球を肝潅流法にて採取し、その抗腫瘍活性をCr遊離法で、リンパ球亜分画の変動をフローサイトメトリー法でそれぞれ検討した。その結果IL-2(4x10^4JRU/day)投与で肝類洞内リンパ球数は4-5倍に増加するとともにその抗腫瘍活性自体も亢進した。したがって肝臓全体としての抗腫瘍能(organ capacity)は対照群の10倍以上に増強した。併用するMF化学療法はこの作用を阻害しなかった。リンパ球亜分画の変動ではCD8^+,CD25^+分画の増加が認められたことからキラーT細胞やナチュラルキラー(NK)細胞が分画が活性化されていることが判明した。さらに化学療法剤の肝抽出率(HER)を測定するとIL-2の併用でそれらのHERが上昇することもわかった。この事実は化学療法剤の肝臓での停留率が亢進し、全身的な副作用が軽減することを意味する重要な知見である。次年度にはこの作用のメカニズムを解明するために動物での担癌モデルを用いてIL-2の腫瘍血管内皮に対する作用を検討する予定である。
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