研究概要 |
本研究は気道上皮細胞の同種リンパ球の賊活能に関する基礎的な検討を行ってきたが、昨年度の検討では、適当な条件下で気道上皮細胞株がアロリンパ球にMHC指向性活性を与える事を明らかにした。本年度は気道上皮細胞表面に発現する接着分子と賊活能との関連について検討を行った。 健康人末梢血リンパ球(PBL)をeffector(EFF)とし、(1)気道上皮細胞株BEAS2B(B2B)(2)同種PBL(3)自己PBLをstimulator(STM)としたリンパ球混合培養(MLC)を作成した。各々のSTMを(A)抗HLA-class I(B)class II(C)抗ICAM-1(D)抗B7(E)抗LFA-3モノクローナル抗体(MAb)にて予めマスクし培養後の活性生細胞をMTT assayにて測定した。 FlowcytometryによるB2B表面抗原解析では上記5抗原全て染色陽性であった。MTTではB2BがSTMの場合、Mabマスクによる比活性は(MAb非処理=100%)HLA class I 92±0.6%,class II 86±2.6,ICAM-1 103±2.5,B7 105±4.9,LFA-39±2.1であり、HLA-class I,II、LFA-3のマスクで有意にMLC活性が低下したがICAM-1,B7では低下しなかった。STMがアロまたは自己PBLの場合にはいずれも有意なMLC活性低下を示した。 B2Bは通常アロPBLにTh-2優位の活性化を起こす事を既に明らかにしたが、ICAM-1,B7が発現しているのにこれを阻害しても活性化が低下しなかったことは、別の機序によるCOSの低下がすでにあるか、または別種のCOSが欠損している可能性がある。
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