研究概要 |
本年度はウサギ体外循環モデルの作成し,組織学的検討を行った. 以下に示す3群を作成し,3群間にて比較検討を行った.体外循環は脱血兎2羽を用い全血充填にて1時間行い、体外循環終了3時間後,肺,肝臓,脾臓,腎臓の組織を採取し,各種組織染色を行った.なお体外循環中の抗凝固療法は,ヘパリンを用いて行った. 1群:右房脱血,肺動脈遮断,大動脈送血,常温完全体外循環群 2群:左室脱血,左大腿動脈送血,動脈-動脈間部分体外循環群 3群:選択的抗トロンビン剤Argatroban持続投与(60γ/kg/min)、右房脱血,肺動脈遮断,大動脈送血,常温完全体外循環群 上記3群を各6Nづつ作製し,各群間の比較を行ったところ,体外循環前後の肺血管抵抗変化において,3群(Argatroban投与群)にて体外循環終了3時間後の血管抵抗の上昇が有意に抑えられ,また肺内顆粒状好酸球の集簇および微小血栓形成は1群>2群>3群の順位にて抑制されていた.組織因子(tissuefactor)は,体外循環終了後3時間の時点にて肺血管内皮細胞、顆粒状好酸球、肺胞マクロファージに発現を認められ,また,肝内血管内皮およびクッパー細胞にも発現していた.Interleukin-1 receptor-antagonistは,顆粒状好酸球,肺胞マクロファージおよび肝クッパー細胞に発現を認めた。主観的には各群間の発現量に有意さを感じたが,発現細胞数において上記3群間に明らかな有意さを認めることができなかった.そのため組織中のm-RNA発現量をNorthern Blot法にて測定する必要が生じ,現在定量中である.
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