研究課題/領域番号 |
06454406
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
阿部 弘 北海道大学, 医学部, 教授 (80000983)
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研究分担者 |
小柳 泉 北海道大学, 医学部, 助手 (40250435)
飛騨 一利 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (10238305)
岩崎 喜信 北海道大学, 医学部, 助教授 (00113522)
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キーワード | Syringomyelia / Chiari malformation / MR imaging |
研究概要 |
脊髄空洞症モデルは、兎モデルを使用し、空洞発生の機序を病理学的所見より検討している。この方法は、兎の脊髄クモ膜下腔にカオリンを注入後、脊髄の不全損傷を作成するものであり、我々がはじめて開発したモデルである。現在まで、外傷性脊髄空洞症の発生機序として、癒着性クモ膜炎が後角近傍に生じることが重要であることがわかってきた。また、空洞は、損傷部の脊髄後角に発生しており、頭尾側方向へ灰白質・後索の基底部を中心に伸展していくことが明かとなった。 また、臨床面では、キアリ奇形に伴った脊髄空洞症症例の疫学調査を行い、全例経腟分娩であること、35%に分娩時の異常(異常肢位、出産時損傷、仮死など)を伴っていたことが明かとなった。このことは、キアリ奇形に伴う脊髄空洞症の成因として、先天的要因のみならず、出産時外傷という後天的要因が関与していることを示唆している。また、生下時の頭囲・身長・体重には異常はないものの、その後の発育において標準身長を下回る低身長例が多いことも明らかとなった。高磁場MRIによるcine-MRIを用いた研究では、キアリ奇形に合併した脊髄空洞症症例において、頭蓋頸椎移行部の後方クモ膜下腔の髄液動態の明かな異常が定量的に確認された。すなわち、心拍動に伴った髄液流は、心収縮期に下向きに最大流速をもつが、脊髄空洞症症例では、最大速度の遅延、あるいは髄液が最大速度となるphaseの遅延がみられた。
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