Radiosurgeryの治療機序の解明のためラット脊髄治療モデルを解析した。本モデルにて低線量治療では長期にわたり神経症状の出現はなく、形態学的にも目だった変化は見いだせなかった。中線量以上の治療では一定期間後に白質を主体とした組織壊死が出現し、すべての動物で症状が出現した。この結果に基ずき副作用予防を目的として低線量複数回治療(分割照射)を行い、中線量治療と同様の効果が得られる線量と、長期にわたり症状および形態学的変化が乏しい線量が明かになった、現在これらの治療機序を分子、細胞レベルで解析中であり、DNA損傷から細胞障害までの過程を追跡している。臨床例の治療効果について、脳動静脈奇形、聴神経腫瘍、神経膠腫および機能的疾患(振戦、疼痛)等の初期治療成績を報告したが、脳動静脈奇形では早期の治癒が得られるタイプが明かになり、聴神経腫瘍では低線量治療にて副作用が極めて少なく、かつ腫瘍の縮小も得られること、神経膠腫(特に良性)にも効果が明かであること、視床手術の展望が見いだされたこと等が得られている。悪性神経膠腫に対しては、治療モデルの結果をふまえて周辺組織の副作用を防ぎ、かつ治療効果を高める為に低線量分割治療を開始した。今後長期の経過観察が必要であるが初期効果は良好で、これらの結果を報告した。
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