脳腫瘍に対する放射線治療後の脳高次機能障害の病態を解明するため、動物モデルを作製し以下のような解析を行った。 1.生後7日目のFischer344ラットの右半球に、15Gyの照射を施行し、照射後1から6週の時期にGIF(growth inhibitory factor)の蛋白レベルでの変動をウエスタン・ブロットで検討し、さらに、m-RNAの経時的変化についてノーザン・ブロットで検討した。GIFのm-RNAは、照射後1週目から照射側で有意な増加を認めた。GIFが増加する意義については今後検討を重ねる予定である。 2.生後7日目のFischer344ラットの右半球に、15Gyの照射を施行し、3時間後、6時間後、1日後、4日後にApop Tagを用いてapoptosisの有無について検討した。照射後6時間から、照射側の白質において陽性細胞が明らかに多く認められ、照射1日後が最も著明で、4日後には認められなくなった。同じモデルでL-MAG(large myelin-associated glycoprotein)陽性細胞が照射側で少なくなっていることを確認しているので、これは照射によるoligodendrogliaの直接の障害を観察していると考えた。
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