研究概要 |
クモ膜下出血(SAH)患者の髄液中のPAF濃度とPAFの分解酵素であるPAFacetylhydrolase活性を測定した結果、PAF濃度は発症1週間後に最大になり、PAFacetylhydrolase活性が最小になることがわかった。また本酵素を阻害する物質が髄液中に存在し、それはSepacry1 S-200HRカラムでvoid volumeと13kDaに一致する分画にその物質が分離された。これらの結果は雑誌論文として発表した(J Neurosurg 80:31-36,1994)。SAH後の脳血管攣縮モデルにPAF拮抗薬を髄注することによって脳血管攣縮を予防することはすでに報告(J Neurosurg 78:592-597,1993)済みであったが、今回はPAF拮抗薬を静注によっても脳血管攣縮を予防するかどうかを検討した。PAF拮抗薬としてはE5880を使用した。血管撮影、神経学的、また組織学的検討を通してE5880は有意に脳血管攣縮を予防した。またE5880投与は血管収縮作用、血小板凝集作用を有するTXB_2の血中濃度を減少させた。また溶血などの副作用もなくこれらの結果はE5880の臨床応用の可能性を強く示した。これらはJ Neurosurg発表予定である。
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