研究実施計画に基づき、ラット実験脳腫瘍モデルを用いて、ヒスタミン、プロスタグランディン12、カルシウムチャンネルブロッカーの投与が腫瘍内血流へおよぼす効果を検討した。水素クリアラス法によって腫瘍内の血流を測定し、これらの物質の内頚動脈内投与はラット実験脳腫瘍の腫瘍内血流を選択的に増加させた。さらにヒスタミンについては、放射性同位元素で標識したトレーサーを用いてオートラジオグラフィーを行い、ヒスタミンが実験脳腫瘍の腫瘍内血管透過性も増加させることも判明した。腫瘍血管の特異的反応性の機構を解明する目的で、脳腫瘍組織内血管内皮細胞や血管平滑筋の細胞内カルシウム濃度変化を検討する予定であるが、現在実験準備中である。抗癌剤(カルボブラチン)の組織中濃度測定は、放射性同位元素で標識した抗癌剤を用いてオートラジオグラフィー法と原子吸光時計を用いた方法で行い、実際に腫瘍内の抗癌剤到達率が選択的に上昇することを確認した(現在発表準備中)。次年度はこの方法の抗腫瘍効果の判定を、脳腫瘍移植ラットを用いて行う予定である。
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