研究概要 |
臨床的神経障害の神経伝導性の障害に対してこれまでinching法を応用することによりその局在部位を明らかにしてきた。軸索流がどのように障害されるかに関しては、臨床例(肘部管症候群55例)を対象として神経幹伝導試験を行い、複合筋活動電位の潜時、振幅、持続時間の波形要素を病変部位を越える際の波形分析より軸索伝導を4つのパターンに分類した。本分類パターンは筋萎縮など臨床所見の程度と相関することが示された。一方神経内血流の変化を検索する目的にて絞扼性神経障害(手根管症候群15例,肘部管症候群14例)の臨床例計器29例を対象としての手術例を対象として、絞扼靱帯の切離前後ならびに神経上膜切開前後のを低出力カレーザー線源をを用いた方法によって計測し比較検討した。手根管症候群例では靱帯切離により血流の増加例が多く見られた。一方、肘部管症候群では靱帯切離により血流増加を示す例は少なく,むしろ神経上膜切開により血流増加を示す例が多かった。手根管症候群の場合神経内血流障害は靱帯による直接の圧迫によるものが多いが,肘部管症候群例では神経上膜自体の肥厚という要素も血流障害に加わるものという結論を得た。 実験的研究においてはdisposable血管clipを用いて家兎座骨神経に圧迫性神経障害モデルを作製した。本モデルでの神経伝導障害と血流障害を検索したところ、神経内の微小循環における血流は圧迫直後より低下する傾向がみられた。伝導性の変化に関しては圧が小さい場合には末梢部の伝導性は1週後さらに2週間後に低下するものの残ることがわかった。圧が大きい場合には圧迫部位の神経伝導性は低下または消失することがわかった。組織学的研究においては神経ランビエ絞輪のコリンエステラーゼ染色とシュミットランターマン溝のフォスハタセ-ゼ染色に関しては再現性のある結果は得られなかった。
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