軟骨細胞での特異的発現を制御しているII型コラーゲンのプロモーター/エンハンサーと、マウスのIX型コラーゲンα1鎖遺伝子を用いて、in frameで欠失や点変異を持つ4種の異なるconstructを作製し、これを導入した各々複数のトランスジェニックマウスを得た。これらのマウスの一部のlineでは四肢短縮型のdwarfismや頭蓋の変形(short snoutなど)が出現し、軟骨形成異常症を発症していた。また他のlineでは骨端の変化が強く、epiphyseal dysplasia様の変化を示していた。また変異の部位によっては、明白な異常形質を示さないものや、変形性関節症様の変化を呈するものも認められた。電顕レベルでは、異常形質を認めたlineで軟骨マトリックス中のコラーゲン細線維の密度や太さに種々の異常が存在した。これらの結果IX型コラーゲン遺伝子上のallelic variantによって、現われてくる形質には軽症から重症に至るheterogeneityが存在することが明らかとなった。 一方、プロモーター領域を含むマウスXI型コラーゲンα2鎖遺伝子の全領域を得た。またその遺伝子構造を初めて明らかにするとともに、エクソン6、7、8が複雑なalternative splicingを受けており、各種組織におけるこれらのエクソン(各々が高度に酸性のドメインをコードする)の発現パターンが異なる事を示した。 XI型コラーゲンα2鎖遺伝子のプロモーター領域とエンハンサーを含むと考えられる第一イントロンの種々の断片に、レポーター遺伝子(β-ガラクトシダーゼ)を繋いだconstructを作成し、これを導入したトラントラスジェニックマウスの系統を多数得た。これにより組織特異的発現に関わる遺伝子領域を現在in vivoで解析している。
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