(コントロール群)純系ルイスラットの右坐骨神経を中枢部で切断し、末梢端は筋肉入口部にて切離した。 (移植群)上記の処置をしたラットの前脛骨筋肉に、同種異系のPVGラットより採取した脊髄前角部を移植し、移植後免疫抑制剤(FK506)を連日投与した。 角群において4週、8週、24週の時点で前脛骨筋の筋質重量、単収縮力、強制縮力を測定した。また前脛骨筋の組織学的検討を行った。移植群では、筋質重量、単収縮力、強収縮力いずれの値もコントロール群に比し、大きい傾向にあったが、統計学的には有意差は認められなかった。また、組織学的にも筋肉内に移植した脊髄前角細胞の生存は確認できなかった。そこで移植した脊髄細胞が術後早期(術後1日〜1週間)にいかなる状態であるのか検討するべく、術後早期の組織学的検討を行った。筋肉内に同種移植された脊髄前角細胞は、術後早期より壊死に陥っており、その細胞生存は確認できなかった。組織学的検討では、移植された前角細胞は同種移植による免疫応答により拒絶されたのではなく、細胞周囲の環境が細胞生存に十分ではなかった事を示唆するものであった。したがって、筋肉内に移植された脊髄前角細胞の生存をいかに獲得するかが第一の問題点であると考え、現在神経再生力に優れた胎児脊髄の脱神経筋内移植を行い検討中である。胎児脊髄細胞の生存が可能であれば、脱神経筋の変性予防がされうる可能性はあると思われる。また、胎児脊髄細胞の分離、培養により、臨床応用への可能性も開けるものと考えている。
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