はじめに 通常の変形性関節症と違い、40歳台で変形性関節症を多発した症例を4例(実験計画、開始時では3例)集積した。これらは互いに血縁関係はなく、また明瞭な他の疾患に罹患したものではなかった。これらの患者の末梢血からゲノムDNAを回収精製して研究材料とした。 研究方法 解析の対象はタイプIIコラーゲン遺伝子である。タイプIIコラーゲン蛋白の部分アミノ酸配列に対する抗体を作成しようとしたが失敗、蛋白系の研究は中絶した。遺伝子は主にPCR増幅して、その断片を解析するか、直接DNA塩基配列決定を行った。またこのDNA塩基配列決定を行うさい、ビオチンでラベルしたPCR産物をMaxam-Gilbert法で化学切断して行うという技術的改善を完成した。 結果 1。コラーゲン蛋白の部分的なアミノ酸配列を融合蛋白として発現するベクターを開発すべく、DNA断片をクローニングしようとしたが、確実な融合蛋白が回収できず、これに対する抗体を作成せんとする試みは失敗した。2。アミノ酸519位付近のPCRを行い、HindIIIRFLPをみた。特変は認められない。3。3'末端、ポリAシグナル付近のビオチンつきプライマーを用いてPCRを行い、産物についてMaxam-Gilbert法でDNA塩基配列決定を行った。予備実験では、この部分に異常らしきものが認められたためである。この作業が本研究の中心となったが、残念ながら結果的には認められなかった。4。3'末の繰り返し配列部分のPCRを行い、この繰り返し回数の異常をみた。しかし、通常の変動範囲を越えるものではなかった。 まとめ 解析した範囲内で、我々の4例においては、タイプIIコラーゲン遺伝子の異常は認められなかった。
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