平成6年度は、 NOを測定する機器の購入が遅れたので、現在までは、他の不活性ガス(タバコの煙)吸入およびニコチン投与による循環反応、特に脳の微小血管の反応性をラットにcranial windowを作成し顕微鏡下に観察し、あわせてNOS合成阻害(L-NAME)投与下の影響を観察している。 タバコの煙の吸入は、直ちに動脈圧の著明な上昇と脳血管の一過性の拡張に続く著明な収縮をきたし、この効果はタバコのニコチンの量(1mg、0.1mg)の量に依存した。ニコチンの静脈内投与も、その投与量に応じた収縮をきたしたが、一過性の拡張は観察されなかった。これらの結果を1994年度日本循環代謝学会にて発表した。 NOの測定が可能になった後は、臨床での重症患者の血漿中のNO compoundsを測定し、肺高血圧を呈した患者では著明に上昇していることを見い出した(1995年日本集中治療医学にて報告)。 予測した通り、NO吸入による臓器(脳)血管反応は急速に現われることが明らかとなったので、反射性の呼吸循環反応は瞬時的なものなので、その観察には、リアルタイムのレコダ-と全てのデータをテープレコーダーとビデオシステムに保管し後の計測に備える必要があり、現在準備している。
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