ビ-グル犬を使用した交差肺循環灌流モデルで、TNF-α(10μg/kg/min)はサイクロオキシゲナーゼ阻害薬(COI)とEDRF阻害物質であるNG-nitro-L-arginineを投与してプロスタグランディンとEDRFを阻害した状態でのみ肺動脈圧の上昇が生じた。また、この状態ではアンギオテンシンIIによる肺動脈の収縮作用や、3%酸素による低酸素性肺血管収縮反応も増強がみられた。よって肺循環においては、プロスタグランディンやEDRFによって、TNF-αによる肺高血圧やHPVの増強作用、アンギオテンシンIIによる肺血管収縮の増強作用がmodulateされていると考えられた。 また、COIとN^G-nitro-L-arginineを前処置した状態でPAF(0.1μg/kg/min)は肺動脈圧を上昇させた。PAFはTXを介して肺動脈収縮作用を生じると云われているが、別の機序が存在している可能性が考えられた。 TNF-αとPAFの相互作用を調べるために、TNF-αの前処置の前後でPAFによる肺動脈収縮作用を比較検討をおこなった。TNF-αの前処置によってPAFによる肺動脈収縮作用が増強した。機序としては、TNF-αによるPAFの産生などのサイトカインの相互作用あるいはTNF-αによる肺血管緊張度の変化が考えられた。 今後、サイトカインによって生じた肺高血圧に対する、NO吸入による影響について検討する予定である。
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