研究課題/領域番号 |
06454454
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田島 惇 東京大学, 医学部(病), 助教授 (10111808)
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研究分担者 |
武内 巧 東京大学, 医学部(病), 助手 (90167487)
亀山 周二 東京大学, 医学部(病), 講師 (90186015)
森山 信男 東京大学, 医学部(病), 講師 (80143501)
河邊 香月 東京大学, 医学部(病), 教授 (20124670)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 死体腎移植 / 温阻血 / 単純冷却 / サイクロスポリン / 臓器保存 / 心マッサージ / FK-506 |
研究概要 |
本研究の主要な目的は以下の3点であった。1)移植専門外の医師が腎提供者の心停止後、摘出チームが到着するまでの間、どこの病院にもある器具・薬剤等を用いた簡単に施行可能な腎保存の方法を見いだし、その方法を確立すること。2)阻血による障害のため移植後機能回復が不可能の腎を、移植前識別できるマーカーを見いだすこと。3)阻血障害を有する移植腎に対する腎毒性を有するサイクロスポリンやFK-506の至適投与量を決定することである。 動物実験、臨床経験の結果から、次の事項が導き出された。1)心停止後、腹部を氷、および冷却水により単純に冷却した場合は、そのまま室温に放置した場合と比べて、腎保存の効果が明らかに得られた。また心停止後用手的に心マッサージを行うことにより腎保存の効果を高めることができた。2)心停止直後、ヘパリン、ステロイド剤の大量投与は効果的であった。3)心停止後、摘出チームにより冷却液による体内灌流が行われ開腹されるが、次に事項が摘出腎のviabiltyを評価する上で、最も実際的、現実的である。すなわち、開腹時腸管の脱血が十分であり(腸管の白色となっている)、かつ腸管が十分冷却されていること(手術用手袋を通して腸管が冷たく触れる)、また摘出した腎の灌流状態が良好であること(1m水柱圧で流してスムーズに灌流できる)である。さらに、摘出時の腎の迅速病理による検索がviabityの評価の裏付けになった。4)阻血障害の高度な移植腎では、免疫抑制剤であるサイクロスポリンやFK-506の投与量は、利尿出現時まで、通常の期待されるtrough levelの半値になるようにし、その他の免疫抑制剤(アザチオプリン、ミゾリビン、ALG)の併用投与を行うのが現状では最善である。 以上の結果より、本研究の課題はある程度解決されたが、死体腎の単純・容易な保存法を目指し、今後さらに研究を深化させる必要がある。
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