研究課題/領域番号 |
06454457
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (70025584)
|
研究分担者 |
水谷 陽一 京都大学, 医学研究科, 助手 (10243031)
筧 善行 京都大学, 医学研究科, 講師 (20214273)
寺地 敏郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (50207487)
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
|
キーワード | 尿路上皮癌 / 遺伝子変化 / 尿細胞診 / p53 / p16 / MTS1,MTS2 / MDR1,MRP / 短期培養 / MASA |
研究概要 |
昨年までの研究でp53遺伝子変異が尿路上皮腫瘍の予後を考える上で最も重要な因子の一つであることが明らかにされた.本年度は分子遺伝学的診断技術の確立を目標として、p53を分子標的として2つの方法を検討した.一つはMASA法で、基礎実験では多くの場合正常細胞数千個につき1〜10個の癌細胞を検出できることが示されたが、偽陽性が出やすいことが判明したため、改良して定量性を導入しこれを克服した.その結果、既知のp53遺伝子変異を有する尿路上皮癌担癌患者の尿中より、癌細胞の検出に成功した.今後、細胞診との精度の比較を行う予定である.もう一つは本研究で確立した尿中剥離細胞の短期培養系を用いる方法で、この培養細胞でのp53免疫細胞化学的所見と原発巣の免疫組織学的所見がよく一致することが証明されたため、この系を用いることにより全く非侵襲的にp53変異細胞を検出する事が可能となり、予後不良と考えられる原発巣の存在を推測でき、きわめて有用と考えられた.今後この方法を発展させ、他の発現蛋白でも短期培養細胞と原発巣が同じ所見を示すか検討し、非侵襲で原発巣の情報をどれぐらい得られるかを検討する.また別に、p16/MTS1の突然変異を検討した.これは特に表在性膀胱癌において染色体9番の異型接合性の消失が非常に高頻度であることから、同部にあるp16/MTS1がより有意義な診断基準、或いは分子標的になりうるかを検討する目的であったが、結果は低頻度であった.また、抗ガン剤治療への感受性を予測する目的で、薬剤耐性遺伝子であるMDR1,MRPの発現、放射線治療に対する感受性を予測するためにp53,PCNAを検討したが、MDR1,MRPの発現の上昇は臨床例では頻度が低く、臨床的意義はまだ不明であり、p53染色と放射線治療感受性は有意な差は認めなかったが、PCNAでは差があり、放射線感受性の指標となりうることが示唆された.
|