研究課題/領域番号 |
06454457
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (70025584)
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研究分担者 |
水谷 陽一 京都大学, 医学研究科, 助手 (10243031)
筧 善行 京都大学, 医学研究科, 講師 (20214273)
寺地 敏郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (50207487)
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 尿路上皮癌 / 遺伝子変化 / 尿細胞診 / p53 / p16 / MTS1, MTS2 / MDR1, MRP / 短期培養 / MASA |
研究概要 |
近年の遺伝子関連技術の進歩に伴い、尿路上皮癌を含めヒト悪性腫瘍についての遺伝子変化についての知見が急速に集積されてきており、こうした知見をいかに臨床の場に応用していくかが、重要な課題になりつつある。 我々は既に染色体9番17番の異型接合性の消失が臨床的に重要であることを報告しているが、今回いくつかの分子マーカーを尿路上皮癌の分子遺伝学的診断に利用できるか否かを検討し、判定基準の確立を目指した。 p53遺伝子変異は多くの場合染色体17番の異型接合性の消失に関係するが、既に病理組織像との関連は明かである。本研究では放射線感受性との相関を認めなかったが、表在性から浸潤性へ移行させる危険因子であった。MTS1,MTS2は染色体9番上にあるがん抑制遺伝子で、本研究で尿路上皮癌における変異を検討した。2割に遺伝子の欠失などを認めたが臨床的意義は明かではなかった。転移との関連で議論されるE-カドヘリンの発現の減弱は27%に認め、臨床像と相関した。さらに予後規定因子として詳細に検討を加える必要がある。抗ガン剤反応性を予測する目的で多剤耐性遺伝子を幾つか検討したが、異常例が少なく臨床的意義は明かではなかった。 以上現在の所、尿路上皮腫瘍の予後を考える上で最も重要な因子はp53遺伝子変異であり、これを分子標的として尿細胞診に代わる分子遺伝学的診断技術の確立を目標として、2つの方法を検討した。一つはMASA法で、定量性を導入により信頼性を向上させ、その結果、既知のp53遺伝子変異を有する尿路上皮癌担癌患者の尿中より、癌細胞の検出に成功した。もう一つは尿中剥離細胞の短期培養系を用いる方法で、この培養細胞のp53免疫細胞化学染色により全く非侵襲的にp53変異細胞を検出する事が可能で、予後不良と考えられる原発巣の存在を推測でき、きわめて有用と考えられた。
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