HGFは腎再生因子として、重要な役割を果たしており、我々は、ヒト腎疾患とHGFの関わりを明らかにすべく血中HGF濃度を測定した。健常ドナー血中HGFが0.27±0.08ng/mlを示すのに対し、急性腎不全、腎梗塞症例で発症早期に各々0.74ng/ml、1.10ng/mlという高値を示し、経過とともに正常レベルへの回復がみられた。安定期レシピエントにおいても平均0.55±0.35ng/mlと有意な高値を示し、血清Cr値と相関を示した。さらに腎移植レシピエントの慢性拒絶反応で尿中FDP、尿蛋白、血清CrとHGF値との間に相関をみとめるか現在検討中である。 また腎細胞癌症例についても0.51±0.35ng/mlというHGF値上昇がみとめられた。一方単純性腎嚢胞液中の嚢胞形成促進因子について、HGFがその主要な構成因子であることをMDCK細胞を用いたコラーゲンゲル包埋法にて証明した(第37回日本腎臓学会シンポジウム)。
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