研究概要 |
(1)ブタSPMI蛋白の一次構造およびSPMIをコードするcDNA遺伝子のクローニングそしてそのmRNAの発現部位を検討した。 【結果】(1)SPMIを構成する14,16,18kDaのN末端アミノ酸分析はほぼ似た配列を有していた。(2)SPMIを構成する一つのcDNA遺伝子のクローニングに成功し塩基配列を決定した。645-bpのSPMI cDNAの塩基配列の分析から、ブタSPMIは21残基のシグナルペプチドと116残基の分泌蛋白を含む137残基のアミノ酸をからなるポリペプチドであることが明らかになった。(3)このSPMIのmRNAは専らブタ精嚢に発現していた。(4)SPMIのアミノ酸配列と相同する蛋白を検索したところspermadhesin family proteinsのメンバーの一つであるAQN-3と97%の相同性を有していた。現在までにブタの精漿あるいは射出精子から分離されたspermadhesin familyが11報告されておりSPMIは12番目のメンバーとなる。本研究成果をFEBS Letters 360:420-424(1995)に発表した。 (2)より純度の高いブタSPMIを得るために精製法を工夫し、ブタ精嚢液からイオン交換クロマトグラフィーとHPLCによってpurification factor, recovery rateが従来の方法よりそれぞれ1.9倍,2.5倍上がる方法を確立した。 (3)SPMIの精子細胞膜に対する影響をbiological assayにて検討したところ、精子細胞膜に付着したSPMIが洗滌により洗い流され一部の精子が再び運動を開始することが判明した。また精子細胞膜を通過するのかどうか、現在免疫電顕にて検索中であり今年度中に結論を得ることが出来なかった。
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