研究課題/領域番号 |
06454463
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
田中 俊誠 秋田大学, 医学部, 教授 (40002216)
|
研究分担者 |
曽我 賢次 秋田大学, 医学部, 講師 (70143055)
設楽 芳宏 秋田大学, 医学部, 講師 (40187357)
|
キーワード | calphobindin / 組織トロンボプラスチン / 血小板 |
研究概要 |
calphobindin(CPB)は我々が胎盤組織中から発見した血液凝固抑制物質である。CPBの血小板凝集反応に対する意義、および組織トロンボプラスチンとCPBとの関与について検討し、次の結果を得た。(1)western blotの検討によりCPBは血小板中に存在することが判明した。(2)ELISA法による検討で、血小板凝集反応前に比較して凝集反応後の血小板CPB濃度は減少していることが判明した。(3)抗annexin抗体は血小板凝集反応に対する影響を認めなかった。さらにelctroporation法にて血小板膜に小holeを形成した後抗annexin抗体を用いても、凝集能に影響は認めなかった。これらのことからCPBは血小板の構成蛋白として存在し、凝集反応の際に放出される可能性があることが考えられた。 また、血管内皮培養細胞を用いて組織トロンボプラスチンとCPBの変動を検討したところ、(1)CPBは組織トロンボプラスチンの凝固活性化作用を完全に抑制した。(2)培養細胞をエンドトキシンで刺激したところCPBは組織トロンボプラスチンと共に培養液中に放出された。(3)刺激時間依存性にCPB、組織トロンボプラスチン共に上昇した。(4)刺激したエンドトキシン濃度の上昇と共に培養液中のCPB濃度は上昇したが、組織トロンボプラスチンの濃度は変化しなかった。このことから細胞障害が惹起され細胞表面に組織トロンボプラスチンの発現を見た場合、CPBが放出され、局所的凝固抑制が行われる可能性があることが示唆された。すなわちCPBは組織トロンボプラスチンの活性を抑制する自己防御機構と考えられた。 なお現在では、CPBと癌抑制、さらに婦人科内分泌器官への関与に関しても検討中である。
|