研究概要 |
(1)子宮頚癌および子宮体癌でannexin Vの発見は著しく抑制されており、この抑制は転写レベルでおこっていることを明らかにした。従って癌細胞内では、annexin Vの発見の低下することで、細胞内リン酸化酵素の活性が亢進し,細胞内情報伝達系の異常がおきているものと考えられる。 (2)annexin Vは卵胞発育にともなって、顆粒膜細胞ならびに英膜細胞に発現してくるようになること、成熟卵胞および黄体に強く発現することを明らかにした。従って annexin Vは卵胞上皮細胞の発育、性ステロイドホルモンの産生ならびに分泌に促進的に働いていると考えられる。 (3)annexin Vが血小板に存在することをはじめて明らかにし,血小板凝集後にannexin Vの濃度が低下することを明らかにした。annexin Vが血小板中に存在し,血小板凝集に関与していると考えられる. (1)〜(3)の成績は、annexin Vの生理学機能の解明に大きく貢献したものと確信している。これまでの研究成果のなかでも,細胞の分化・増殖および細胞の癌化にannexin Vが関与し,発癌に抑制的に働いている可能性があることに注目している。現在は1)癌組織においてannexin Vの発現が低下している機序を明らかにするため、annexin Vとインターアクトする転写調節因子を単離し、転写調節のメカニズムを解明する、2)癌細胞をはじめとする各種の細胞にウィルスベクターを用いてannexin V遺伝子を導入し、細胞の形態の変化を観察する研究を進めている。
|