研究課題
1994〜1995年にかけて、妊婦248名について単純ヘルペスウイルスとサイトメガロウイルスに対する抗体を、IgGとIgMクラス別に分けて検討した。<方法と考察>ELISAを用い、デンカ生研のキットを用いた。カットオフ値は、キットに記載されたものを用いた。<結果と考察>1.単純ヘルペスウイルス抗体保有率-IgG抗体は、248例中121例(48.8%)が陽性であったが、残る51.2%は陰性であった。陰性妊婦は、妊娠中の初感染のリスク群と考えられ、20〜30年前に比べ著増している。IgM抗体は、15例(6.4%)に陽性であった。このうち3例(1.2%)は高値を示し、妊娠中の初感染と考えられた。この3例について子宮頸管からの単純ヘルペスウイルス分離を試みたところ、1回の検査では陰性であった。2.サイトメガロウイルス抗体保有率-204例について検討した。IgG抗体陽性者は、158例(77.4%)であり、残りの46例(22.6%)は陰性であった。この群は、妊娠中の初感染のリスクがある。IgM抗体は9例(4.4%)に検出された。このうちの2例(1%)は、IgG抗体が低値を示し、妊娠中の初感染が疑われた。<展望>母子感染のハイリスク群と考えられる症例が、単純ヘルペスウイルスでは1.2%、サイトメガロウイルスでは1.0%にあることが判明した。このような症例を集積して、母子感染の頻度と児への影響を検討する必要がある。
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