卵胞発育のメカニズムを解明するため、顆粒膜細胞のアポトーシスとその関連抗原の発現につき、検討した。また、子宮内膜におけるアポトーシスの生理的変動および病的状態(子宮内膜症)についても検討した。 1.月経周期を有する複数の婦人より、婦人科手術時に卵巣組織、子宮内膜組織および子宮内膜症組織を採取した。凍結およびホルマリン固定組織より切片を作製した。アポトーシス発現細胞を検出するため、断片化されたDNAの3′端をterminal nucleotidyl transferaseを用いてdUTPで標識し、切片上で可視化した(TUNEL法)。顕微鏡下にTUNEL法にて染色された細胞の割合を計測した。さらにアポトーシス関連抗原であるFas、Bcl-2、Le^yを、免疫組織染色法にて検出した 2.顆粒膜細胞では、性周期によるアポトーシスおよび関連抗原の発現に、明らかな規則性は見いだせなかった。 3.正所性子宮内膜においてはアポトーシスの発現は明らかな規則性はなく、Bcl-2は増殖期のみに発現していた。子宮腺筋症においては正所性子宮内膜と同様であったが、卵巣子宮内膜症細胞では、常にアポトーシスの発現がみられ、Bcl-2の発現は認められなかった。以上の結果より、内膜症の病態にも部位によりアポトーシス発現に差異が存在することが明らかとなった。
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