研究概要 |
免疫学的原因による反復流産患者選択のパラメーター確立について検討をおこなってきたが、NK(natural killer)細胞活性が最も有用なパラメーターであるとの結果を得た。その検討結果を以下に提示する。 1、2回の自然流産歴があり、生児のいない反復流産患者68名(平均年齢30才)および既往流産歴の無い非妊健常女性47名(平均年齢29才)に対して^<51>Cr release assay法を用いてNK細胞活性を測定し、比較検討した。その結果は反復流産患者のNK細胞活性(mean±SD,39.4±12.7%)は、非妊健常女性のそれ(29.0±12.8%)に比べて、有意に高値であった。(p=0.00004) 2、次に68名の反復流産患者について、次回妊婦帰結とNK細胞活性の関連性について検討をおこなった。尚、それらの妊娠に関しては、無治療にて経過を観察した。NK細胞活性の高レベル群(非妊健常女性のmean+1SD以上、42.0%以上)は24名、正常レベル群(42.0%未満)は44名であった。 高レベル群の流産率は71%であり、正常レベル群の20%に比較して有意に高値であった。(p=0.00007;relative risk,3.5% CI,1.8-6.5) 以上より、妊娠前のNK細胞活性は、その後の妊娠帰結を予測する上で非常に有効なパラメーターであるとの結論を得た。(NK細胞活性は免疫学的拒絶反応の主役をなすものであり、妊娠前にそのレベルが高い場合、妊娠維持に不利に働くと考えられる。)現在、このNK細胞活性を診断パラメーターとして反復流産患者の管理・治療にあたっており、データを集積中である。
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