研究課題/領域番号 |
06454478
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
八神 喜昭 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (20079974)
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研究分担者 |
梶浦 詳二 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (70233715)
青木 耕治 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (50175725)
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キーワード | 免疫学的硫酸 / 診断パラメーター / NK細胞 / サブセット / 予知能 |
研究概要 |
平成6年度研究実績報告として末梢血NK(natural killer)細胞活性が免疫学的原因による反復流産選択のパラメーターとして有用であるとの報告をおこなった。本年度は末梢血のNK細胞subsetに注目し、研究をおこなった。研究方法は原因不明反復流産患者42名を対象に非妊時末梢血リンパ球におけるNK細胞のsubsetを2種類のモノクローナル抗体(CD56,CD16)を用いたtwo-color flow cytometry法にて解析し、次回妊娠帰結と各抗原の発現率との関連について検討した。(尚、全例無治療にて妊娠経過を観察した。) 対象42例中24例の妊娠は正常に経過(以下NPと略す)、18例は流産した。(以下SAと略す)。 NPの末梢血リンパにおけるCD56(+)16(+)細胞の割合は6.1±3.7%でSAの10.2±4.2%に比較して有意に低値であった。その他のsubset(CD56(+)16(-)細胞、CD56(-)16(+)細胞)に関してはNP、SAの2群間に差異を認めなかった。次にCD56陽性細胞の占める割合で比較するとNPでは6.0±3.8%でSAの13.7±5.3%に比較して有意に低値であった。CD56陽性細胞のcut off値を12.5%と設定し、その後の妊娠帰結の予知能について検討したところ、Sensitivity:72.4%、Specificity:76.9%、Positive predictive value:87.5%と良好な結果が得られた。 母児接点である脱落膜中にはNK細胞活性を有するCD56陽性細胞(large granular lymphocyte LGL)が非常に多く存在し、免疫学的妊娠維持の成否に深く関与していることが判明している。 今回我々がおこなった研究は末梢血レベルであるが、原因不明反復流産患者においてCD56陽性細胞の占める割合は次回妊娠帰結の予知因子として有用であることが示唆された。このことは免疫学的反復流産の診断的パラメーターとなり得る可能性を秘めていると考えられた。
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