研究課題/領域番号 |
06454480
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
荒木 勤 日本医科大学, 医学部, 教授 (40089751)
|
研究分担者 |
澤 倫太郎 日本医科大学, 医学部, 助手 (30267174)
米山 芳雄 日本医科大学, 医学部, 助手 (00201096)
朝倉 啓文 日本医科大学, 医学部, 助教授 (30167879)
進 純郎 日本医科大学, 医学部, 助教授 (70216208)
|
キーワード | アデノシン / 脳質周囲白質軟化 / 胎児 |
研究概要 |
アデノシンはATPのプリン代謝物であり、腎および胎盤の血管床以外では血管拡張作用を有し、特に脳の血流量を増加させることが良く知られている。アデノシンの産生は低酸素症およびアシドーシスの病態でその産生が瞬時に増加する。また、このような病態が継続すると、ヒポキサンチンおよび過酸化脂質などが発生し組織障害を発生させる。 アデノシンなどのプリン代謝物および過酸化脂質の胎児における代謝および生理的役割に関しては、ほとんど解明されていない。したがって、本年度はヒト胎児およびヤギ胎仔の血漿プリン代謝物および過酸化脂質濃度を測定し、その生理学的意義を検討した。 1)ヒト胎児血漿アデノシン濃度と血液ガス、pHの相関関係の検討 陣痛のない状態で臍帯穿刺をおこない、胎児血漿アデシノン濃度、血液ガス、pHを測定した。血漿アデシノン濃度はpO_2、pHに相関して上昇していることが判明した。このことからアデシノンは胎内における、低酸素症などの病態において、脳などの局所血流の改善に関与していることが示唆された。 2)ヤギ胎仔血漿アデノシン、ヒポキサンチン、過酸化脂質濃度の検討 ヤギ胎仔において、臍帯血流を人工的に遮断すると、胎仔頸動脈血漿アデノシンは低酸素症と相関し、ヒポキサンチンおよび過酸化脂質はアシドーシスと相関することが判明した。以上の結果より、低酸素症においてはアデノシンの産生により脳などの重要臓器は保護される。しかし、アシドーシスなどの病態においてはヒポキサンチンおよび過酸化脂質が産生され、胎内における脳障害の発生と関係している可能性が示唆された。
|