研究課題/領域番号 |
06454486
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 晴雄 京都大学, 医学部, 講師 (90171511)
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研究分担者 |
杉丸 忠彦 京都大学, 医学部, 助手 (20263072)
三浦 誠 京都大学, 医学部, 助手 (70263077)
倉田 響介 京都大学, 医学部, 助手 (80225242)
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キーワード | 滲出性中耳炎 / コレステリン肉芽腫 / 耳管 / マクロライド / ステロイド |
研究概要 |
難治性滲出性中耳炎のうち、遷延する鼻副鼻腔炎を伴うものにマクロライド系抗生剤の少量長期投与(クラリスロマイシン、一日通常量の1/3量を3カ月分投与)を行ったところ、聴力改善では現在最も滲出性中耳炎の治療として確立されている鼓膜チューブ留置と同等の効果がみられ、長期的には鼓膜チューブ留置より再発が少ないという結果を得た。またこれらの症例では副鼻腔炎も改善する傾向がみられた。この結果からこの群の難治性滲出性中耳炎に本治療法が有効であることがわかった。 中耳コレステリン肉芽腫に対して、ステロイド剤内服(プレドニソロン0.5-1mg/kgを初回量として10-14日で漸減)後に鼓膜チューブ留置を行ったところ、5例、6耳すべてで耳漏停止し、聴力も正常に回復した。また副作用も重篤なものはみられなかった。今後も引き続き経過観察し、長期成績をみる予定であるが、本治療法は侵襲が少なく、効果が予想以上に良いため、中耳コレステリン肉芽腫の第一選択の治療法となりうると考えられた。 耳管の器質的閉塞を伴う難治性滲出性中耳炎に対しては、現在実験的にネコでこれを作製し、耳管を再建する目的で耳管内にシリコン性のステントを挿入して3カ月後の組織を1耳で調べたが、耳管粘膜上皮の再生は完全ではなく、より長期のステントの留置が必要である可能性が示唆されている現状である。 過度の通過性をもつ耳管に対しては、それを修正するために耳管粘膜下に注入する生体材料を主に持続性の点から実験的、臨床的に検討してきた。その結果、通常のアテロコラーゲン(ザイダームコラーゲン)が優れていることがわかった。今後実験的にも臨床的にも症例を増やす予定である。
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