動物実験 マウスを使用して、外耳道の正常発生を光顕的に観察した。マウスの外耳道はヒトと相違して、出生時に完成されておらず、軟性に閉鎖された状態である。次に外耳道腔の形成にアポトーシスの関与を調べるため、tunnel法で生後2日から9日までのマウス外耳道を染色した。マウス外耳道の基底細胞層にアポトーシスを疑わせる細胞が存在したが、その頻度は外表の基底細胞層に認められる頻度と変わらないように思われた。外耳道の皮下組織の疎な間葉組織内にもアポトーシスを疑わせる細胞が存在した。この間葉組織の退縮にアポトーシスの関与が推測された。 また、マウス外耳道が出生時に未発達であることを利用して、ビタミンAが軟性の外耳道閉鎖症を発現させるかを検討した。生後2日目のマウス新生仔の腹腔内および外耳周囲にビタミンAを投与したが外耳道腔の形成に影響を与えなかった。 臨床 今年度は、中耳疾患(非奇形耳)の側頭骨high resolution targetCTのコンピュータ三次元再構築法により、外耳道・鼓室・顎関節・中頭蓋窩・顔面神経・顎動脈・S状動脈洞・静脈球などの位置関係を立体的に検討した。
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